2026年度(第72回)青少年読書感想文全国コンクール・小学校高学年の部の課題図書に選ばれた『リヒト!』。
主人公は、小学6年生の理人。
真面目で、物事を「正しいか、正しくないか」で考えがちな理人は、大好きだった祖母・節さんが亡くなったあと、彼女が最後に残したものをきっかけに、自分の知らなかった祖母の一面へ近づいていきます。
そして理人は、苦手に感じていた親戚の大学生・マサムネと一緒にドイツへ向かうことになります。
知らない国。
予定どおりにいかない旅。
自分とは考え方の違う人。
これまで「きっとこうだ」と思っていたことが、理人の中で少しずつ変わっていきます。出版社も、四角四面に物事をとらえがちな理人が、想定外だらけの旅を通して固定観念を覆していく作品として紹介しています。
この記事では、『リヒト!』のあらすじやテーマ、読書感想文で使いやすい5つの切り口、構成例、タイトル例までわかりやすく紹介します。
『リヒト!』の基本情報
📚 2026年度 青少年読書感想文全国コンクール課題図書(小学校高学年の部)
作品名: リヒト!
作: イノウエミホコ
出版社: 文研出版
ISBN: 978-4-580-82672-4
『リヒト!』は文研出版の「文研ステップノベル」シリーズから刊行された児童文学です。公式の課題図書選定理由でも、主人公の心情の変化と成長が人間関係を通して丁寧に描かれている点が評価されています。
『リヒト!』はこんな人におすすめ
『リヒト!』は、特にこんな人におすすめです。
- 「こうするのが正しい」と考えすぎてしまうことがある人
- 苦手だった人への印象が変わった経験がある人
- 家族について知らなかった一面を知ったことがある人
- 旅行や海外、異文化に興味がある人
- 自分の考え方が変わった経験について書きたい人
- 「人を決めつけないこと」をテーマに感想文を書きたい人
この作品はドイツへの旅が大きな舞台になっていますが、海外旅行の経験がなくても問題ありません。
むしろ大切なのは、自分が「こういう人だ」と思っていた相手について、あとから違う一面を知った経験がないかを考えることです。
友達、家族、先生など、身近な人との経験からも十分に読書感想文を書けます。
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『リヒト!』のあらすじ
主人公の理人は、小学6年生。
中学受験を控え、勉強にも真面目に取り組んでいます。
理人にとって大切な存在だったのが、祖母の節さんです。
ところが、その節さんが亡くなってしまいます。
節さんは生前、理人にあるものを託していました。
理人の中には、
「節さんは最後に何を伝えたかったのだろう?」
という疑問が残ります。
そして、理人は節さんについて調べ、考えていくうちに、自分が知っていると思っていた祖母にも、知らなかった一面があったことに気づいていきます。
そんななか、理人は親戚の大学生・マサムネと一緒にドイツへ向かうことになります。
しかし、マサムネは理人にとって苦手な相手です。
きちんとしていたい理人と、理人とは違う考え方や行動をするマサムネ。
二人の旅は、何もかも予定どおりというわけにはいきません。
理人は慣れない海外で、さまざまな「想定外」に出会います。
自分の常識が通じないこと。
思っていたように進まないこと。
そして、苦手だと思っていた人にも、自分が知らなかった一面があること。
ドイツの街やクリスマスマーケットなど、これまでとはまったく違う環境の中で、理人の考え方は少しずつ揺さぶられていきます。公式紹介でも、理人が節さんから託されたものの意味を探しながら「苦手なあいつ」とドイツへ向かう旅が物語の軸になっています。
そして理人は、
「自分が知っていることだけが、その人のすべてではない」
ということに気づいていきます。
節さん。
マサムネ。
そして自分自身。
知らない場所へ出たからこそ、今まで見えなかったものが見えるようになっていく、理人の成長を描いた物語です。
『リヒト!』のテーマ
『リヒト!』には、読書感想文につなげやすいテーマがいくつもあります。
特に考えやすいのは、「思い込み」「人のさまざまな一面」「知らない世界へ出ること」の3つです。
「きっとこうだ」と決めつけないこと
理人はとても真面目です。
物事には正しいやり方があり、その通りに行動することが大切だと考えています。
それ自体が悪いことではありません。
でも、
「この人はこういう人だ」
「きっとこうなる」
「やらなくてもわかる」
と決めつけてしまうと、自分が知らないものを見落としてしまうことがあります。
出版社も本作について、「きっとこうにちがいない」「やらなくてもわかっている」と考える理人の固定観念が、海外での体験によって覆っていくことを見どころとして挙げています。
自分が正しいと思っていることを疑ってみる。
実際にやってみる。
相手の話を聞いてみる。
そうすることで、今までとは違う見方ができることがあります。
人には、自分が知らない一面がある
理人は大好きだった節さんについて、
「自分はよく知っている」
と思っていたかもしれません。
でも、一人の人間にはいろいろな時代があります。
自分のおばあちゃんになる前。
お母さんになる前。
子どもだったころ。
若かったころ。
家族から見える姿だけが、その人のすべてではありません。
友達についても同じです。
学校では静かな人が、家ではとてもよくしゃべるかもしれません。
苦手だと思っていた相手が、実は自分の知らないところで誰かを助けているかもしれません。
一つの印象だけで、人のすべてを決めることはできない。
理人の旅から、そんなことを考えられます。
知らない世界へ出ると、自分も変わる
理人はドイツという、自分にとって慣れない場所へ出ていきます。
そこでは、いつもの生活で通用していたことが、そのまま通用するとは限りません。
だからこそ、自分で考えなければならなくなります。
旅行でなくても、
新しい学校。
新しいクラス。
初めての習い事。
知らない人がいる場所。
こうした新しい環境に入った経験がある人も多いでしょう。
初めは不安でも、知らない場所へ一歩出たことで、自分の考え方が広がることがあります。
『リヒト!』読書感想文の切り口5選
ここからは、『リヒト!』で読書感想文を書くときに使いやすい切り口を5つ紹介します。
全部を書く必要はありません。
自分自身の経験と一番つながりそうなものを一つ選び、そこから深く考えてみましょう。
① 苦手だった人への印象が変わった経験から書く
『リヒト!』で特に書きやすい切り口です。
最初は、
「この人、苦手だな」
と思っていたけれど、話してみると意外とおもしろかった。
怖そうだと思っていた先生が、実はとても優しかった。
あまり話したことのなかったクラスメートと一緒に活動したら、今まで知らなかった一面が見えた。
そんな経験はないでしょうか。
まず、
「最初は相手をどう思っていたか」
を書きます。
次に、
「何をきっかけに印象が変わったのか」
を書きます。
最後に、理人とマサムネの関係と比べながら、
「人を最初の印象だけで決めてはいけないと思った」
と考えを広げられます。
② 家族の「知らなかった一面」から書く
理人は、節さんについて知らなかったことに触れていきます。
自分の家族についても、
「そんなことしていたの?」
「そんな夢があったの?」
と驚いた経験があるかもしれません。
お父さんやお母さんの子どものころ。
祖父母の若いころ。
昔やっていたスポーツ。
昔住んでいた場所。
家族だから何でも知っているように感じますが、実は知らないこともたくさんあります。
本を読んだあとに家族へ昔の話を聞いてみて、その発見を感想文に入れるのもおもしろいでしょう。
③「正しいこと」について考える
理人は、正しく生きようとする真面目な性格です。
そこで、
「正しいことって何だろう?」
という少し深いテーマにも挑戦できます。
ルールを守ることは大切です。
約束を守ることも大切です。
でも、いつも一つのやり方だけが正しいのでしょうか。
人によって考え方が違うとき。
予定どおりにできないとき。
初めてのことをするとき。
「正解が一つではないこと」もあります。
自分が、
「自分のやり方が正しいと思っていたけれど、友達の方法もよかった」
と気づいた経験などがあれば、理人の変化と結びつけられます。
④ 初めての場所へ行った経験から書く
理人にとって、ドイツへの旅は大きな出来事です。
自分にも、
初めての旅行。
転校。
新しいクラス。
初めて参加した大会。
初めて行ったキャンプ。
など、知らない環境へ入った経験はないでしょうか。
行く前はどんな気持ちだったか。
実際に行ってみるとどうだったか。
何を発見したか。
「経験する前に想像していたこと」と「実際に経験してわかったこと」を比べると、『リヒト!』のテーマとつながります。
⑤ 「リヒト」というタイトルから考える
少し工夫した読書感想文を書きたい人におすすめです。
「リヒト(Licht)」はドイツ語で「光」を意味します。
作品内でも主人公・理人の名前と結びつけて読むことができます。公式課題図書ページのレビューでも、この言葉と理人の成長との関係が指摘されています。
では、理人にとっての「光」とは何だったのでしょうか。
節さんから受け取ったもの。
ドイツへの旅。
マサムネとの関係。
新しく知ったこと。
さまざまな答えを考えられます。
そして、
「自分にとっての光は何だろう?」
と、自分自身へテーマを広げてもおもしろいでしょう。
『リヒト!』読書感想文の構成例
小学校高学年では、物語の説明を長くするよりも、自分の考えがどう変化したかを中心に書くと内容が深くなります。
① この本を選んだ理由
最初に、なぜこの本を読もうと思ったのかを書きます。
例:
「ぼくは『リヒト!』という短い題名が気になりました。どんな意味なのか知りたくて、この本を読みました。」
「私は旅行が好きなので、主人公がドイツへ行く話だと知って読んでみたいと思いました。」
② 一番心に残った出来事を書く
次に、一番印象に残った出来事を選びます。
理人が節さんについて知っていく場面。
マサムネとのやり取り。
ドイツでの出来事。
理人の考え方が変わる場面。
何でも構いません。
ただし、あらすじだけにならないよう、
「私はなぜそこが気になったのか」
まで書きましょう。
③ 自分自身の経験とつなげる
ここを感想文の中心にします。
例:
「私にも、最初は苦手だと思っていた友達がいます。その子はいつも自分の意見をはっきり言うので、私は少し怖いと思っていました。でも、同じ係になって話してみると、困っている人にすぐ気づく優しい人だとわかりました。」
そこから、
「理人も、マサムネのことを自分が知っている一面だけで見ていたのではないかと思いました。」
と作品につなげます。
④ 本を読んで考えがどう変わったかを書く
最後に、読後の自分の考えを書きます。
例:
「この本を読む前は、一度苦手だと思った人とは、無理に仲良くしなくてもいいと思っていました。でも、話したり一緒に何かをしたりしないと、わからないこともあると思いました。これからは『この人はこういう人だ』とすぐに決めつけず、その人のことをもっと知ろうとしたいです。」
読む前 → 本を読んだ → 読んだあと
という自分の変化を書くことで、読書感想文をきれいにまとめられます。
『リヒト!』読書感想文のタイトル例
- 「人は一つの顔だけじゃない」
- 「理人といっしょに見つけたもの」
- 「知らない世界へ一歩出て」
- 「決めつけないということ」
- 「苦手な人を知ること」
- 「ぼくの中の思い込み」
- 「正解は一つじゃない」
- 「旅が理人を変えたもの」
- 「わたしにとっての光」
- 「『リヒト!』が教えてくれたこと」
タイトルは感想文を書き終わったあとに決めても大丈夫です。
自分が一番多く書いた内容を短い言葉にすると、テーマに合ったタイトルをつけやすくなります。
『リヒト!』の読書感想文を書くときの注意点
ドイツ旅行の説明だけにしない
ドイツの街やクリスマスマーケットなど、旅の場面は作品の魅力の一つです。
でも、
「ドイツへ行きました」
「○○を見ました」
と旅行の出来事を並べるだけでは、あらすじ紹介になってしまいます。
旅によって理人の考えがどう変わったのかに注目しましょう。
「理人は真面目すぎる」で終わらせない
理人の考え方を見て、
「もっと気楽にすればいいのに」
と思う人もいるかもしれません。
でも、理人の真面目さそのものが悪いわけではありません。
「真面目であることのよさ」
と
「自分の考えにこだわりすぎること」
を分けて考えると、より深い感想文になります。
相手を簡単に「悪い人」にしない
理人が苦手に感じる人にも、その人なりの考えや事情があります。
一人の登場人物を、
「この人は悪い人」
と決めつけてしまうと、この作品のテーマと反対になってしまいます。
なぜその人がそう行動したのか。
理人から見た姿と、別の人から見た姿は同じなのか。
一歩考えてみると、作品への理解を深められます。
『リヒト!』の読書感想文でよくある質問
一番書きやすいテーマは?
「人を第一印象だけで決めつけないこと」が書きやすいでしょう。
学校生活の中でも、
「最初は苦手だったけれど、話してみたら印象が変わった」
という経験は見つけやすいためです。
自分の経験と理人の変化を比べることで、感想文を広げられます。
ドイツへ行ったことがなくても書ける?
もちろん書けます。
ドイツは物語の重要な舞台ですが、感想文では海外旅行の経験が必要なわけではありません。
初めての場所、新しいクラス、新しい習い事など、自分が知らない環境に入った経験と結びつけることができます。
中学受験をしていなくても大丈夫?
大丈夫です。
理人は中学受験を控えた真面目な小学6年生として描かれていますが、この作品の中心は受験そのものではありません。公式の選定理由でも、人間関係を通した心情の変化と成長が重視されています。
思い込み、家族、人間関係、旅、自分の考え方の変化などからテーマを選べます。
タイトルの『リヒト!』にはどんな意味がある?
「Licht」はドイツ語で「光」を表す言葉です。
主人公の名前「理人(りひと)」とも重なります。
そこから、
「理人が旅の中で見つけた光とは何だったのか」
「自分にとって光のような存在は何か」
などを考えることができます。
タイトルの意味を中心に感想文を書くのもおすすめです。
まとめ|『リヒト!』は思い込みを越えて人を知ることについて考えられる物語
『リヒト!』は、大好きだった祖母・節さんが残したものをきっかけに、理人が苦手な相手とドイツへ旅立ち、自分の知らなかった人や世界に出会っていく物語です。
読書感想文では、
- 苦手だった人への印象が変わった経験
- 家族の知らなかった一面
- 「正しいこと」とは何か
- 初めての場所へ踏み出した経験
- 「リヒト=光」というタイトルの意味
などをテーマにすると書きやすいでしょう。
この作品で大切なのは、
「理人がドイツへ行って成長した」
というだけではありません。
なぜ理人の考えが変わったのか。
自分にも思い込みはないか。
人のことを、本当に一面だけで決めていないか。
そこまで考えることで、自分自身の生活にもつながる読書感想文になります。
自分では「わかっている」と思っていたことも、実際に知ってみると違って見えることがあります。
理人の旅をきっかけに、自分の中にある「きっとこうだ」を一つ見つけてみるのもいいかもしれません。
2026年度のほかの課題図書については、こちらの記事でまとめて紹介しています。
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