2026年度(第72回)青少年読書感想文全国コンクール・小学校中学年の部の課題図書に選ばれた『それからぼくはひとりで歩く』。
主人公は、視覚障害のある11歳の男の子・ハイメ。
特別支援学校から地域の小学校へ転校したハイメは、クラスの中で視覚障害があるただ一人の子どもです。
ある日、ハイメは思いがけず、普段は一人では乗らないバスに乗って帰ることになります。
目が見えないハイメにとって、一人で知らない場所を移動することにはさまざまな困難があります。
しかし、この作品から考えられるのは「目が見えないこと」だけではありません。
自分でやってみること、人に助けを求めること、相手を知ること、自分とは違う人の立場を想像することなど、読書感想文につながるテーマがたくさんあります。
この記事では、『それからぼくはひとりで歩く』のあらすじやテーマ、読書感想文で使いやすい5つの切り口、構成例、タイトル例までわかりやすく紹介します。
『それからぼくはひとりで歩く』の基本情報
📚 2026年度 青少年読書感想文全国コンクール課題図書(小学校中学年の部)
作品名: それからぼくはひとりで歩く
作: アリシア・モリーナ
訳: 星野由美
絵: 犬吠徒歩
出版社: ほるぷ出版
ISBN: 978-4-593-10534-2
原著のタイトルは『El día menos pensado』。
メキシコの児童文学作家アリシア・モリーナによる作品で、視覚障害のある11歳のハイメの一日を描いています。
『それからぼくはひとりで歩く』はこんな人におすすめ
『それからぼくはひとりで歩く』は、特にこんな人におすすめです。
- 一人で何かに挑戦した経験がある人
- 初めて一人で出かけたときのことを書けそうな人
- 誰かに助けてもらった経験がある人
- 自分とは違う立場の人について考えてみたい人
- 「自立すること」について読書感想文を書きたい人
この作品では、ハイメの視覚障害だけに注目するのではなく、一人の11歳の男の子が経験する一日として読むことがポイントです。
不安になったり、好きな子のことが気になったり、自分でやってみようとしたりするハイメの気持ちには、自分と共通する部分も見つけられるでしょう。
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『それからぼくはひとりで歩く』のあらすじ
主人公のハイメは11歳。
視覚障害があり、特別支援学校から地域の小学校へ転校したばかりです。
新しい学校では、クラスの中で視覚障害があるのはハイメだけ。
目が見えないことで不便なことはありますが、ハイメは自分なりに工夫しながら学校生活を送り、友達との毎日を楽しんでいます。
そんなある日、ハイメは気になっている女の子・パウリーナを家まで送ることになります。
ところが、その帰り道。
思いがけない流れから、ハイメは普段なら一人では乗らないバスに乗って、自分で家へ帰らなければならなくなります。
いつもとは違う状況の中で、一人で行動するハイメ。
目で周りを見ることができないハイメは、音やにおい、人との会話など、さまざまな手がかりを使いながら状況を確かめていきます。
それはハイメにとって、決して簡単なことではありません。
不安になることもあれば、思い通りにならないこともあります。
それでも、自分で考え、ときには周りの人の力も借りながら、ハイメは前へ進んでいきます。
いつもの一日から始まった、ハイメにとっての「ささやかで大きな冒険」。
その一日を通して、ハイメの見ている世界や、一人で行動することの意味を一緒に感じられる物語です。
『それからぼくはひとりで歩く』のテーマ
この作品には、読書感想文につなげられるテーマがいくつもあります。
特に考えやすいのは、「自分でやってみること」「助けてもらうこと」「自分とは違う人を知ること」の3つです。
自分でやってみること
ハイメにとって、一人でバスに乗って帰ることは大きな挑戦です。
私たちにも、「初めて一人でやったこと」があります。
初めて一人で学校へ行った。
初めて一人で買い物をした。
初めて家族から離れて何かに挑戦した。
最初は不安でも、やってみたことで「自分にもできた」と思えることがあります。
自立するというのは、ある日突然何でも一人でできるようになることではありません。
小さな挑戦を一つずつ重ねながら、自分でできることを増やしていくことなのかもしれません。
人に助けてもらうこと
「一人でできるようになる」と聞くと、「誰にも頼らないこと」だと思うかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか。
困ったときに誰かへ質問する。
わからないことを教えてもらう。
必要なときには助けを求める。
それも、自分で考えて行動することの一つです。
ハイメの一日を読んでいくと、「一人で歩くこと」と「誰の助けも借りないこと」は同じではないと気づきます。
自分でできることは自分でする。
必要なときには人の力を借りる。
その両方について考えられる作品です。
自分とは違う人の世界を想像すること
目が見える人は、道を歩くときに信号や看板、建物などを目で確認します。
では、目が見えないハイメは、周りの世界をどのように感じているのでしょうか。
この作品では、音など視覚以外の感覚も使いながら生活するハイメの日常が描かれています。
「見えない=何もわからない」ではありません。
自分とは違う方法で周りを知り、生活している人がいます。
自分が当たり前だと思っている方法だけが、世界を知る方法ではない。
ハイメの一日を通して、そんなことにも気づくことができます。
『それからぼくはひとりで歩く』読書感想文の切り口5選
ここからは、読書感想文を書くときに使いやすい切り口を5つ紹介します。
全部を書く必要はありません。
「自分にも似た経験がある」「もっと考えてみたい」と思ったものを一つ選び、そこから感想を広げてみましょう。
① 初めて一人で何かをした経験から書く
この作品で特に書きやすい切り口です。
自分が初めて一人で何かをしたときのことを思い出してみましょう。
初めて一人でおつかいに行った。
初めて一人で電車やバスに乗った。
初めて一人で習い事へ行った。
家族から離れて宿泊行事に参加した。
最初はどんな気持ちだったでしょうか。
「間違えたらどうしよう」
「ちゃんとできるかな」
と不安になったかもしれません。
でも、実際にできたあとには、
「思っていたよりできた」
「次はもう少し自信を持てそう」
と思った人もいるでしょう。
ハイメの挑戦と自分の経験を比べながら、「自分でやってみること」について書くことができます。
② 「助けてもらうこと」について書く
自分が困っているとき、誰かに助けてもらった経験はないでしょうか。
道がわからなくなって教えてもらった。
勉強でわからないところを友達に教えてもらった。
重いものを一緒に持ってもらった。
転んだときに手を貸してもらった。
助けてもらうことを「自分でできなかった」と考える人もいるかもしれません。
でも、必要なときに「助けて」と言えることも大切な力です。
ハイメの行動から、
「自分でやることと、人に頼ることは反対なのか?」
と考えてみると、内容の深い感想文になります。
③ 「目が見えなかったら?」だけで終わらず、ハイメと自分の共通点を探す
この本を読むと、
「もし自分の目が見えなかったら大変だろうな」
と考えるかもしれません。
もちろん、それも一つの感想です。
でも、そこからもう一歩進めてみましょう。
ハイメにも、自分と同じところがあります。
学校へ行く。
友達と話す。
好きな人が気になる。
不安になる。
失敗する。
自分でやってみたいと思う。
「違うところ」だけでなく「同じところ」を探すことで、ハイメを「自分とはまったく違う人」ではなく、一人の同年代の子どもとして考えることができます。
④ 自分が普段「目」に頼っていることから書く
朝起きてから学校へ行くまで、自分はどのくらい目を使っているでしょうか。
時計を見る。
服を選ぶ。
信号を見る。
教科書を読む。
友達の顔を見る。
考えてみると、たくさんあります。
では、目を使わない場合は、どうすれば同じことができるでしょうか。
音。
触った感覚。
におい。
誰かから聞いた情報。
ハイメの日常を読みながら、「自分は普段どうやって周りのことを知っているのか」を考えてみるのもおもしろい切り口です。
⑤ 「ひとりで歩く」とはどういうことか考える
タイトルの『それからぼくはひとりで歩く』から考える方法です。
「ひとりで歩く」とは、本当に一人で道を歩くことだけなのでしょうか。
自分で決める。
自分で考える。
失敗しても次の方法を考える。
必要なら誰かに助けを求める。
そうしたことも「ひとりで歩く」という言葉につながっていると考えることができます。
本を読む前にタイトルから想像した意味と、読み終わったあとに考えた意味を比べてみるのもおすすめです。
『それからぼくはひとりで歩く』読書感想文の構成例
小学校中学年なら、4つの段落を基本にして、自分の経験や考えをしっかり入れてみましょう。
① この本を選んだ理由
まず、なぜこの本を読もうと思ったのかを書きます。
例:
「ぼくは『それからぼくはひとりで歩く』という題名を見て、主人公がどうして一人で歩くことになったのか気になりました。」
「わたしは一人でバスに乗ったとき、とても緊張したことがあります。ハイメが一人でバスに乗る話だと知って、自分と比べながら読んでみたいと思いました。」
② 一番心に残った場面を書く
次に、ハイメの一日の中で一番心に残ったところを選びます。
一人でバスに乗ることになった場面。
困ったときに自分で考えて行動する場面。
誰かと関わる場面。
自分が気になったところで構いません。
そして、
「ハイメは○○しました」
だけではなく、
「自分だったらどうしただろう」
「なぜその場面が心に残ったのか」
まで書きましょう。
③ 自分の経験や考えとつなげる
ここを感想文の中心にします。
例:
「ぼくも初めて一人で電車に乗ったとき、乗る電車を間違えないか心配でした。駅までお母さんと何度も行ったことがあったのに、一人になるといつもと違って見えました。」
そこから、
「ハイメは目が見えないだけでなく、いつもとは違うことを一人でしなければならなかったので、もっと不安だったと思います。」
と本の内容へ戻すことができます。
さらに、
「でも、不安でもやってみたことで、できることが増えるのだと思いました。」
と自分の考えにつなげると、感想文らしくなります。
④ 本を読んで考えがどう変わったかを書く
最後に、読み終わったあとの自分の考えを書きます。
例:
「この本を読む前は、『一人でできる』とは誰にも助けてもらわずにできることだと思っていました。でもハイメを見て、困ったときに人に聞きながら自分で進むことも、一人でできるということなのだと思いました。これから新しいことをするときは、失敗をこわがらずにまず挑戦してみたいです。」
本を読む前と読んだあとの考えの変化を書くと、まとまりやすくなります。
『それからぼくはひとりで歩く』読書感想文のタイトル例
- 「一人でやってみるということ」
- 「ハイメの大きな一歩」
- 「ぼくも一人で歩いてみたい」
- 「できないと決めつけない」
- 「助けてもらうことも大切」
- 「ハイメとぼくの同じところ」
- 「見えなくてもわかること」
- 「一人で歩くということ」
- 「挑戦したからわかったこと」
- 「自分で進むために」
タイトルは、感想文を書き終わってから決めても大丈夫です。
自分が一番多く書いたテーマを短い言葉にすると、内容に合ったタイトルを考えやすくなります。
『それからぼくはひとりで歩く』の読書感想文を書くときの注意点
「目が見えなくてかわいそう」で終わらせない
この作品で特に注意したいポイントです。
ハイメには視覚障害があります。
しかし、ハイメは「かわいそうな人」としてだけ描かれているわけではありません。
友達をつくり、学校生活を楽しみ、好きな女の子がいて、自分で挑戦しようとする11歳の男の子です。
「自分と違うところ」だけでなく、
「自分と同じところは何だろう?」
と考えてみましょう。
「目が見えない人は〇〇だ」と決めつけない
ハイメの経験は、視覚障害があるすべての人に当てはまるわけではありません。
人によって、見え方も生活の仕方も必要な手助けも違います。
読書感想文では、
「目が見えない人はみんな〇〇だ」
ではなく、
「ハイメの生活を読んで、私は〇〇と感じた」
という書き方をするとよいでしょう。
あらすじだけで終わらせない
ハイメの一日はさまざまな出来事が起こるため、あらすじを書くだけでも長くなりやすい作品です。
でも、読書感想文で大切なのは物語の説明ではありません。
心に残った場面を一つか二つ選び、
ハイメの経験 → 自分の経験 → 自分が考えたこと
という順番で書くことを意識しましょう。
『それからぼくはひとりで歩く』の読書感想文でよくある質問
一番書きやすいテーマは?
「初めて一人で何かをした経験」があれば、それをテーマにすると書きやすいでしょう。
一人で買い物をした、一人で電車に乗った、初めて自分だけで何かを決めたなど、小さな経験でも構いません。
ハイメの挑戦と自分の経験を比べながら、「挑戦する前とあとで何が変わったか」を考えてみましょう。
視覚障害について詳しく調べたほうがいい?
この本の読書感想文を書くために、必ず詳しく調べなければならないわけではありません。
まずは作品の中でハイメがどのように生活し、何を感じ、どう行動したのかを読むことが大切です。
そこから疑問を持ち、もっと知りたいと思ったことがあれば、自分で調べ、その発見を感想に加える方法もあります。
障害について書かなくてもいい?
もちろん大丈夫です。
「自分で挑戦すること」「人に助けてもらうこと」「友達との関係」「一人で行動すること」など、さまざまなテーマがあります。
ハイメの視覚障害だけにテーマを限定する必要はありません。
タイトルの「ひとりで歩く」にはどんな意味がある?
実際にハイメが一人で移動することに加えて、「自分で考え、自分で進んでいくこと」という意味も考えられます。
また、自立することは「誰にも頼らないこと」と同じなのか、という問いにもつなげられます。
自分が本を読んで感じた「ひとりで歩く」の意味を、そのまま読書感想文のテーマにしてもよいでしょう。
まとめ|『それからぼくはひとりで歩く』は「自分で進むこと」について考えられる物語
『それからぼくはひとりで歩く』は、視覚障害のある11歳のハイメが、思いがけず一人でバスに乗って帰ることになる一日を描いた物語です。
読書感想文では、
- 初めて一人で何かに挑戦した経験
- 誰かに助けてもらった経験
- 自分とは違う人との共通点
- 普段自分が「目」に頼っていること
- 「ひとりで歩く」というタイトルの意味
などをテーマにすると書きやすいでしょう。
この作品を読むと、「自立するとは何だろう?」ということについても考えられます。
何でも一人でできることだけが、自立とは限りません。
自分で考えて行動し、困ったときには必要な助けを求めながら前へ進む。
そんな姿も、「自分で歩く」ということなのかもしれません。
読書感想文では、ハイメの視覚障害について説明するだけではなく、ハイメの経験を通して自分自身が何を考えたのかを書いてみましょう。
2026年度のほかの課題図書については、こちらの記事でまとめて紹介しています。
▶ 【2026年度】読書感想文の課題図書一覧|小学生・中学生・高校生の全18冊を紹介
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