2026年度(第72回)青少年読書感想文全国コンクール・小学校高学年の部の課題図書に選ばれた『ミシュカ』。主人公は、アフガニスタンから逃れ、オランダで暮らし始めた9歳の少女・ロヤです。
ロヤの家に、新しく一匹のウサギがやってきます。
そのウサギの名前が「ミシュカ」。
ロヤはミシュカに話しかけながら、自分や家族がアフガニスタンを離れ、新しい国へたどり着くまでの長い旅について語っていきます。
この本には「難民」という大きなテーマがあります。
でも、それだけではありません。
家族と安心して暮らせること。
つらい思い出を誰かに話すこと。
自分の話を聞いてもらうこと。
新しい場所で生きていくこと。
そして、自分とまったく違う環境で暮らしてきた子どもの気持ちを想像すること。
高学年の読書感想文につなげやすいテーマがたくさんあります。
この記事では、『ミシュカ』のあらすじやテーマ、読書感想文で使いやすい5つの切り口、構成例、タイトル例までわかりやすく紹介します。
『ミシュカ』の基本情報
📚 2026年度 青少年読書感想文全国コンクール課題図書(小学校高学年の部)
作品名: ミシュカ
作: エドワルト・ファン・デ・フェンデル、アヌッシュ・エルマン
絵: アネット・スカープ
訳: 野坂悦子
出版社: 静山社
ISBN: 978-4-86389-846-2
原題は『Misjka』。
本作は、アフガニスタンから逃れた家族がオランダで新しい生活を始める物語で、2026年度の小学校高学年の部課題図書に選定されています。静山社によると、作品は世界12か国で翻訳出版されています。
『ミシュカ』はこんな人におすすめ
『ミシュカ』は、特にこんな人におすすめです。
- 家族について読書感想文を書きたい人
- 自分とは違う国や文化に興味がある人
- 「家」や「安心して暮らせる場所」について考えてみたい人
- つらいことを誰かに話した経験がある人
- 世界で起きていることを、自分と同じくらいの子どもの目線から考えてみたい人
- ウサギや動物が好きな人
「難民」という言葉だけを見ると、少し難しい本に感じるかもしれません。
しかし、『ミシュカ』では大きな社会問題を説明するだけではなく、ロヤや兄たち、家族、そして小さなウサギの日常を通して物語が進んでいきます。
静山社の紹介でも、重いテーマを持ちながら、家族の愛や新しい国で見つけた幸せが中心に描かれている作品として紹介されています。
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『ミシュカ』のあらすじ
ロヤは9歳の女の子。
生まれた国はアフガニスタンです。
しかし、ロヤと家族は故郷を離れなければならなくなり、長い旅の末にオランダへたどり着きます。
新しい国で生活を始めたロヤたち。
ようやく安心して暮らせる場所を手に入れた家族のもとへ、一匹のウサギがやってきます。
ロヤは、そのウサギを「ミシュカ」と名づけます。
小さくてかわいいミシュカは、家族にとって新しい幸せのような存在です。
ロヤはミシュカに、自分のことを話します。
自分の名前。
生まれた国。
家族のこと。
そして、アフガニスタンからここへ来るまでに経験した長い旅のこと。
話していくうちに、ロヤだけではなく、兄たちが覚えている出来事も少しずつ語られていきます。
家族が経験した旅は、楽しい旅行ではありません。
住んでいた場所を離れ、先の見えない状況の中を進んできた旅です。
さらに、新しい国へたどり着けばすべての問題が終わるわけでもありません。
慣れない環境や、自分たちへ向けられる偏見や差別など、新しい生活の中にも難しさがあります。国立国会図書館の要約でも、ロヤがミシュカと過ごす日常とともに、長い旅や新しい国で受ける差別などが描かれる作品とされています。
それでもロヤの家族は、新しい場所で生活を続けていきます。
そしてミシュカは、家族が今まで言葉にできなかった記憶を話すきっかけにもなっていきます。
かわいい一匹のウサギを中心にしながら、「故郷」「家族」「記憶」「安心して暮らせること」について考えられる物語です。
『ミシュカ』のテーマ
『ミシュカ』には、読書感想文につなげやすいテーマがいくつもあります。
特に考えやすいのは、「安心して暮らせる場所」「話すことと聞いてもらうこと」「自分とは違う立場を想像すること」の3つです。
「家」があるとはどういうことか
私たちは普段、「家があること」を当たり前だと思っているかもしれません。
学校から帰れば家があります。
自分の物があります。
家族がいます。
明日もそこに帰れると思っています。
でも、ロヤたちは故郷を離れなければなりませんでした。
ここから、
「家とは建物のことだけなのだろうか?」
と考えることができます。
安心して眠れること。
家族と一緒にいられること。
「ここにいていい」と思えること。
それも「家」をつくっている大切なものなのかもしれません。
自分が普段当たり前だと思っている生活を、ロヤの経験を通して見直すことができます。
つらい記憶を話すこと、聞いてもらうこと
ロヤたちの家族には、長い旅の中で経験したさまざまな記憶があります。
でも、つらかったことは、簡単に話せるとは限りません。
話したくない。
思い出したくない。
どう説明すればいいかわからない。
そんな気持ちになることもあります。
ロヤはミシュカに話しかけます。
相手はウサギです。
何か答えてくれるわけではありません。
それでも、「聞いてくれる存在」がいることで、自分の中にあったことを言葉にできることがあります。
自分も、嫌なことがあったときに誰かへ話して少し楽になった経験はないでしょうか。
「話すこと」と「聞いてもらうこと」の意味について考えられます。
自分とは違う暮らしをしている人を想像すること
ロヤは9歳。
小学校高学年の読者とも、それほど大きく年齢は離れていません。
同じくらいの年齢でも、育った国や経験したことは大きく違います。
それでも、
家族が大切。
かわいい動物が好き。
楽しいことがあるとうれしい。
嫌なことがあれば悲しい。
という共通点もあります。
「難民」という言葉だけで考えると、自分から遠い人のように感じるかもしれません。
でも、ロヤという一人の子どもの生活を知ることで、
「自分と違うところ」と「自分と同じところ」の両方が見えてきます。
『ミシュカ』読書感想文の切り口5選
ここからは、『ミシュカ』で読書感想文を書くときに使いやすい切り口を5つ紹介します。
難民問題そのものを詳しく説明しなくても大丈夫です。
自分が作品を読んで一番強く感じたことからテーマを選びましょう。
①「安心して帰れる家」について書く
この作品で特に書きやすいテーマです。
普段、自分が家に帰ったときのことを考えてみましょう。
ランドセルを置く。
好きなことをする。
家族とご飯を食べる。
自分の布団で眠る。
当たり前すぎて、普段は特別だとは感じないかもしれません。
でも、ロヤの家族の経験を読むと、
「毎日同じ家へ帰れることは、本当に当たり前なのかな?」
と考えることができます。
本を読む前には気づいていなかった日常について書くと、自分らしい感想文になります。
② ペットや動物に話しかけた経験から書く
ロヤはウサギのミシュカに語りかけます。
自分も犬や猫、ハムスターなどのペットに、
「今日こんなことがあったよ」
と話しかけた経験はないでしょうか。
ペットを飼っていなくても、ぬいぐるみや大切な物に話しかけたことがあるかもしれません。
相手から答えが返ってこなくても、話したことで少し気持ちが落ち着くことがあります。
「どうしてミシュカだから話せたのだろう?」
と考えてみると、作品ならではの感想文になります。
③ 誰かに話を聞いてもらった経験から書く
友達とけんかした。
学校で嫌なことがあった。
失敗して落ち込んだ。
そんなときに、家族や友達、先生へ話したことはありませんか。
問題そのものは解決しなくても、
「聞いてもらえてよかった」
と思うことがあります。
反対に、自分が誰かの話を聞いた経験でも構いません。
ロヤたちの家族と比べながら、「聞くことにはどんな力があるのか」を考えてみましょう。
④「難民」という言葉への印象がどう変わったかを書く
本を読む前に、「難民」という言葉から何を想像していたでしょうか。
ニュースで見る人。
遠い国の出来事。
自分とは関係のない話。
そう感じていた人もいるかもしれません。
でも、『ミシュカ』では、難民であるロヤにも家族がいて、毎日の生活があり、小さなウサギをかわいがります。
そこで、
読む前に持っていたイメージ
↓
ロヤたちの生活を知って感じたこと
↓
読み終わったあとに変わった考え
という流れで書くことができます。
⑤「もし自分が大切な場所を離れなければならなかったら」と考える
少し深いテーマに挑戦したい人におすすめです。
もし突然、
「明日からこの家には住めません」
と言われたら、自分は何を持っていきたいでしょうか。
友達とは?
学校は?
大切にしている物は?
家族とどんな気持ちで出発するでしょうか。
もちろん、ロヤの経験を完全に想像することはできません。
でも、自分だったらと考えることで、今まで遠く感じていた出来事に少し近づくことができます。
「全部わかった」と考えるのではなく、
「自分には想像できないほど大変なこともあると気づいた」
と書くことも大切です。
『ミシュカ』読書感想文の構成例
小学校高学年では、作品の説明を長くするより、読んだことで自分の考えがどう変わったかを中心にすると内容の深い感想文になります。
① この本を選んだ理由
最初に、なぜ『ミシュカ』を選んだのかを書きます。
例:
「私はウサギが好きなので、『ミシュカ』という本を選びました。でも読み始めると、かわいいウサギの話だけではないことに気づきました。」
「ぼくは『難民』という言葉をニュースで聞いたことはありましたが、同じくらいの年の子がどんな生活をしているのか知らなかったので読んでみました。」
② 一番心に残った場面を書く
次に、自分が特に心に残った場面を書きます。
ロヤがミシュカへ話しかけるところ。
家族が旅の記憶を語るところ。
新しい場所で暮らす場面。
何でも構いません。
あらすじを詳しく説明するのではなく、
「なぜそこが気になったのか」
を書きます。
③ 自分の生活や経験と比べる
ここを感想文の中心にします。
例:
「私は学校から帰ると、いつも自分の部屋にランドセルを置きます。今まで、それを特別なことだと思ったことはありませんでした。でもロヤたちは、自分の家を離れなければならなかったと知り、毎日同じ家に帰れることは当たり前ではないと思いました。」
そこから、
「私にとって家とは何だろう?」
と考えを深められます。
④ 本を読んで変わった考えを書く
最後に、読み終わったあとの自分を書きます。
例:
「この本を読む前は、難民はニュースの中にいる遠い人だと思っていました。でもロヤにも家族がいて、動物をかわいいと思ったり、つらかったことを誰かに聞いてほしいと思ったりします。私と違う経験をしていても、同じ気持ちになることがあると知りました。これからニュースを見るときにも、一人ひとりに生活があることを忘れないようにしたいです。」
『ミシュカ』読書感想文のタイトル例
- 「わたしにとっての家」
- 「ミシュカが聞いてくれたこと」
- 「安心して暮らせるということ」
- 「ロヤとわたしの同じところ」
- 「遠い国の話ではなかった」
- 「聞いてくれる人がいること」
- 「家族といっしょにいられる幸せ」
- 「一匹のウサギがつないだもの」
- 「『難民』という言葉の向こう側」
- 「当たり前だと思っていた毎日」
タイトルは、感想文を書き終えてから考えても大丈夫です。
「難民」という大きな言葉を使わなくても、自分が一番考えた「家」「家族」「話すこと」などをタイトルにできます。
『ミシュカ』の読書感想文を書くときの注意点
「難民はかわいそう」で終わらせない
『ミシュカ』を書くときに、特に気をつけたいところです。
ロヤの家族が大変な経験をしたことは確かです。
でも、
「難民の人はかわいそうだと思いました」
だけでは、ロヤを一人の人間ではなく、「かわいそうな人」としてだけ見てしまいます。
ロヤには好きなものも、家族との時間も、新しい生活の中の幸せもあります。
ロヤの経験を知って、自分が何に気づいたのかまで書きましょう。
戦争や難民について詳しく説明しすぎない
読書感想文なので、アフガニスタンの歴史や国際問題を詳しくまとめる必要はありません。
自分で調べて加えることはできますが、それだけで感想文の大部分を使うと「調べ学習」になってしまいます。
作品を読んで感じたことを中心にしましょう。
「自分ならわかる」と簡単に言い切らない
自分にも引っ越しや転校などの経験があれば、ロヤと比べることはできます。
でも、自分の経験とロヤの経験がまったく同じとは限りません。
「ロヤの気持ちが全部わかった」
ではなく、
「自分の経験を思い出したけれど、ロヤたちの旅は自分には想像しきれないほど大変だったと思う」
という書き方もできます。
『ミシュカ』の読書感想文でよくある質問
一番書きやすいテーマは?
「安心して暮らせる家」や「誰かに話を聞いてもらうこと」が書きやすいでしょう。
難民問題について詳しく知らなくても、自分の家庭や友達との経験から考えられます。
難民について調べたほうがいい?
必ずしも必要ではありません。
まずは作品に描かれているロヤと家族の経験をしっかり読むことが大切です。
読んだあとで、
「アフガニスタンはどこにあるんだろう?」
「難民とはどういう人なんだろう?」
と疑問を持った場合は、自分で調べたことを少し加えるのもよいでしょう。
ウサギのミシュカを中心に書いてもいい?
もちろん大丈夫です。
ミシュカはただのかわいいペットではなく、ロヤや家族が自分たちの経験を語るきっかけになる大切な存在です。静山社も、一匹のウサギが家族をつなぐ物語として紹介しています。
「どうしてミシュカには話せたのだろう?」
という問いから感想文を書いてみるのもおすすめです。
『ミシュカ』で一番大切なテーマは何?
一つに決める必要はありません。
難民、家族、故郷、新しい生活、差別、記憶、安心できる場所など、さまざまなテーマがあります。
自分が読みながら一番心を動かされたものを選ぶことが大切です。
まとめ|『ミシュカ』は「安心して生きられる場所」について考えられる物語
『ミシュカ』は、アフガニスタンから逃れた9歳のロヤと家族が、新しい国で一匹のウサギ・ミシュカと暮らしながら、それまでの長い旅について語っていく物語です。
読書感想文では、
- 安心して帰れる家について
- ペットや大切なものに話しかけた経験
- 誰かに話を聞いてもらった経験
- 「難民」という言葉への印象の変化
- 自分が大切な場所を離れなければならなかったらどう感じるか
などをテーマにすると書きやすいでしょう。
この作品を読んで大切なのは、「遠い国で大変なことがあった」と知るだけではありません。
ロヤも、自分と同じように家族と暮らし、かわいいものを大切にし、うれしいことや悲しいことを感じる一人の子どもです。
違うところを知ること。
そして、同じところを見つけること。
その両方が、知らなかった相手について考える第一歩になるのかもしれません。
読書感想文では、ロヤの経験を説明するだけでなく、この本を読んで自分のいつもの生活がどう見えるようになったかまで考えてみてください。
2026年度のほかの課題図書については、こちらの記事でまとめて紹介しています。
▶ 【2026年度】読書感想文の課題図書一覧|小学生・中学生・高校生の全18冊を紹介
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